進路

30歳代のころ九州の画廊で版画家秋山巌展があった。一点購入した。係の人が「先生がおられますがお会いになりませんか」言った。控室に通され先生にあった。先生はにこやかに「ありがとう」「以前は個展から帰っても家内は素知らぬふりだったが、最近は何点売れたと言うだよ」と笑っておられた。「これ君にあげよう」と12年間作品写真集に木炭でフクロウの絵を更に山頭火の句を書いて頂きサインに雅印まで押して頂いた。最後に先生の真ねて年賀状を作っても良いかと聞いた。先生は「大いに結構。どんどん作ってほしい」と言われて感激した。それから秋山巌タッチの版画年賀状が20年続いた。今から30年前の事である。