千数百年の眠り

昔中国西安の古玩城(骨董を扱うビル)の裏路地でドンゴロスを背負った青年にあった。田舎から出てきたような青年の袋には何が入っているのか想像できた。中を見せて欲しいと言うとひどく怯えて逃げようとする。交渉いや説得し二人でまず食事してようやく中身見せてくれた。彼としては勇気のいることだったろう。それは彼がどこからこれを持ってきたのかは容易に想像できたからだ。完品はなかった。今では千数百年の眠りから覚めた俑は背の書棚に鎮座している。左の髪が欠損しているがその下に耳を作っていたのが見てとれる。小さな唇には僅かに紅が残っている。