人間(僕)の思い上がり

散歩の途中に柿の木がある。通学路だったことから何十年前から知っている。今年もしっかりした実を付けて頼もしい限りだ。しかし残念渋柿である。可哀そうにと思っていた事は誠に自分勝手であった。柿にとって甘か渋かはどうでもよいことだ。以前勝山(かつやま)という急こう配の山に登ったことがある。登山者はまったくない山である。這う這うの体で辿り着いた山頂でアリを確認した。瞬時に思ったのが「孤独なアリだ可哀そうに。人間の顔も二度と見ることはないだろう」思った。下山途中、自分の心はアリより小さいと恥ずかしくなった。彼の世界に小生など眼中にないからだ。